カテゴリ:王余魚沢滞在日記( 22 )

なんだか。

最終日のことがずっと書けずにいました。
青森滞在は大きな経験だったから、最後の日をどうまとめ、締めくくっていいのか分からないという思いもあったけれど、うん、やっぱり慌ただしく時間が過ぎて、その流れの中にのっかっているだけでした。
青森の時間の流れ方と全然違う。つくるものも、つくり方も、人との関わり方も。
でも、この出来事がしっかりと身体の中にあって、選ぶことが増えて、うじうじとしたおそれみたいなものが減った気がします。

さて。

最終日は子どもたちに音楽の手紙を渡しました。彼らは2日間続けて来てくれた、というか、両日お母さんがお店を出していたから、その間にあそびに来てくれた賑やかな人たちが彼ら。
最後に彼らとのことを少しだけ。


昨日の彼女に倣って、私も黒板に「おんがく」と書いてみる。
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それから、緊張しながら音楽の手紙の説明をすると、思いのほかするっと聞き入れてくれた。

音楽家、佐藤公哉くんの音を聴いてもらう。
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みんなで返事を書くことにも乗ってくれた。
簡単なルールを決めて演奏。
昨日、今日と(私が)うんざりするほどさわった自分の好きな楽器で。彼女は2日間鐘をはなさなかった。

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演奏(レコーディング)の途中で、赤ちゃんを抱いたおじさんが
「おじょうちゃんちょっと貸して」
とひもをぐいっと彼女の手からひっぱった。
彼女は、「ちょっと待って、ちょっと待って!」と言ってはなさない。

おじさんはそれをまたひっぱり返す。赤ちゃんにもさわらせたいということだろう。
とっさのできごとだったけど、私にとって彼女は演奏家だったから、
「今演奏中なのでまた後ですみません!!」とお断りした。

そうじゃなかったら、彼女も私も、順番、とか考えて、きっとゆずったんだろう。
でも、あの時は、今はゆずれない、という気持ちになった。
教室の空気がしまっていて、周りの人の空気にも変化があった。
聴くことに傾く人と、やってみたいに傾く人、といた。
境のない場所で、やってみたい(やらせてあげたい)に傾く人の気持ちが宙に浮いたままになってしまった。





演奏について。
遊んでいる時はやんちゃなだけのばらばらカオスな音だったけど、演奏しよう、と投げかけてみると、ぐっと凝縮した音楽になった。その魅力とは、ぱっとやったことだから、構成力のようなもののことではないけど、(私も入れて)4人で演奏“しよう”としたこと、他の誰かの音をよく聴くとか、こうやって鳴らそう、とか、そういうきらっとした意志みたいなもののことで、それからそれを演奏したのが、受け取った手紙にしたためてある音楽のようなものを聴いた後の“彼ら”であったことによるのかな、と思った。
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視聴機。
野田薫さんの公園での演奏を聴いて、「わぁ、きれいな音」と言っていた。
一日中楽器を鳴らしまくっていて、私自身音で消耗していた中で、彼らがすんだ音に耳をすませている様子は勝手ながら新鮮に感じられた。

展示の中で、子どもたちと様々な関わり方ができたことは大変貴重で、とても嬉しいできごとだった。
みんなありがとう。
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会期の終了が近づくとともに、出発の時間が迫ってくる。

いつもいつも気にかけて下さってありがとう。
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なごりおしそうに部屋に遊びに来てくれた方々は、みんなどことなく音楽をまとっている。
ありがとう。
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何か作っている人が好き。何も特別なことではなくて、生きているってことで、
それは、あらゆる意味でみんながしていること。

アーティストは、作ること、表現に関して提案をできるけど、他の誰かと比べて特段に特別な存在、というわけではない。

そして、人々の作っている瞬間に携わったり、その瞬間を繋いでいくことを、私は仕事(社会と関わる1つのポイント)にしたいんだなと思う。

疲れて眠っている人。作る喜びを、隣の教室から分け与えてくれた人。
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もう一つ。青森へ来て、震災との距離感覚が縮まった。物理的にそうだったんだろう。
そして、というよりは少しだけ、自分の目で見ている感じを得たんだと思う。

支援を受ける人、支援をする人、遠くから見たら、または言葉で考えたら関係性が決まりきっているかのように見える。
でも私にはどれが誰だかもう分からなくなった。
私は知らない土地で、たくさんのご厚意に助けていただいた。自分にできることは何かとも考えたけれど、小さな小さなことを一生懸命にやるしかなかった。
人と生きていくというのは、本当にただただ、接した面や点と点や面が支え合っている(ちからを行き交わせている)ことだと実感した。

だから、誰かのためになる何かをしたいと思うのなら、自分が“よい”とする少しの前提を持って、人と関わろうとすればいい、それだけなのだと思う。

もちろん、大きな企て、たくさんの人の力、にできることを信じている。
それを必要としている人がきっといる。
だけど、何かを与えようとする姿勢とは、必ず何かを受け取る姿勢であることも忘れてはいけない。
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青森出発の数日前、そういえば王余魚沢小学校の校歌はどんななんだろうと思い、ご近所さんやおばあちゃんに覚えているかきいてみたのですが、忘れた、とのお返事でした。
自分の母校の校歌を思い出そうとすると私も…いろんなやつがつながってでてきてしまいます。

王余魚沢小学校卒業生をいろいろたずねてどんな曲か教えて頂こうかと思いましたが、ご近所さんがお友達から王余魚沢小学校100周年の記念誌を借りて来て下さり、すぐに楽譜が手に入りました。弾いてみると、よい曲。
前奏とか伴奏を勝手に考えながらピアノや鍵盤ハーモニカで演奏してみます。

校歌って確かにそれぞれ違うのに、どれも校歌らしい響き。その土地土地の自然が盛り込まれている、そして初めてでもなぜか懐かしいところのある音楽です。
王余魚沢小学校の校歌には、八甲田山などが描かれていますよ。



とうとう最終日前日ということでこの日は挨拶をしてまわりました。
犬のお散歩中のお姉さんに会います。リンゴ畑で作業しているところや、通勤(学)中に何度かお会いした方です。
やっとゆっくりお話しすることができました。とても美しい方。
「ちなみに…」と校歌について尋ねると、少しだけ歌って下さいました。
初めて歌われているところをきけて感動です。



王余魚沢小学校は、いろんな方にそれぞれの思いであいされている場所です。
子どもの頃の思い出と一緒に、小さな試みの場として、人に出会う、出会いなおすポイントのようなものとして。

早朝6時頃の学校は昼間ののんびりモードとまた違って、生き生きとしています。
校庭で体操するおじいさんや、犬の散歩で駆けてく方々。
山のお腹みたいなところにある王余魚沢小学校は、人の「かよう」場でした。
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一番乗りの人。
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人数が増えて、
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工藤さんを呼んでみます。
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午後、先日の中学生が「明日は来れないから」と教室まで会いに来てくれました。
翌日はアートICHIBA最終日、青森を発つ日でもあります。
かばんから合唱曲集を取り出し、「これ弾ける?」と開いたページには、アンジェラ・アキさんの「手紙」。
あの時は全然気がづかなかったけど、そうか、手紙、って曲だったんだな。
弾いてみると、すごい!ととても喜んでくれました。

その後も曲集から何曲か。
連弾にも挑戦してみました。ゆっくりゆっくり、何度も立ち止まりながら、でもすごく楽しかった。
初音ミクの曲のメモもあって、弾いてほしいと言われます。
お母さんが書いてくれたようなのですが、カタカナのドレミだけで記してあって、私は曲を知らずリズムが分からないので適当に弾いてしまいました。
こんな感じかな、というと、まあ、だいたいそんな感じ、と彼女らしい優しい返事。



子ども達は一日中楽器を鳴らしていました。
くらくらするほど!
私の教室はりんご箱市場のすぐ隣。ずっと音がしているとお店の方々も大変だろうなどと妙に気になったり、展示の音を他のお客さんにじっくりきいてもらえないな、と自分勝手な考えが浮かんだり、本人達は楽しそうだから止めるのを躊躇したり、でもあまり大きな音だと声をかけてみたり。
何を大切にしたらいいか、少し混乱してしまいました。

その話を、彼らの音をきいてもびくともしない中学生にすると、
お仕事は何?
じゃあ、この音を音楽に入れればいいじゃん!
と。

なんだか!
彼女のアドバイスに、私情けないな、とはずかしくなりました。
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ご近所さんがオープン作業を手伝ってくださいます。
窓を開けたり、バケツスピーカーを上に上げたり。

時々カメラをかまえたり。
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NPOの三澤さんはカメラマンでもいらっしゃいます。
アートICHIBAでは家族写真をお撮りになっていました。

この日、三澤さんが教室にご自分のカメラを設置してくださいます!
鈴木くんの4×5の代わりに持って来てくださったものですが、なんか、すごく高級な気がする!
どきどき。

不在の人を惜しんで泣いてるふりのみなさん。
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アートICHIBA、最後の平日。
土日はまた忙しそう。
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定休日。
カフェガールズのお二人に弘前を案内していただきました。
弘前には和と洋の入りまじる教会やお家など古い建物が残り、ほんのり横浜を思い出しました。

この日、一足先に鈴木くんが青森を発ちます。
前日は王余魚沢のみなさんがお別れ会をしてくださいました。
ご近所さんと鈴木くんが向かい合ってツイストを踊っていたのが、よかったなぁ。
一緒に散歩をしたお母さんも、学校に立ち寄ってくださいました。

カフェガールズともここでいったんお別れ。
王余魚沢産四葉のクローバーをいただきました。嬉しいプレゼントだね。
すてきな一日をありがとうございました。

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ご近所さん案内のもと浪岡まで。
ガラス作家小林さん、イラストレーター工藤さん、鈴木くんも一緒です。
どこからどう見ても目立つ、こいメンバー…。

めあてのやきそば屋さんはお休みでしたが、ご近所さんの同級生のお店でおそばやラーメンをいただきました。
大人気のお店。
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空き缶でできてます。名所。
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ご近所さんはどこに行っても出会った人とおしゃべり、すごい。
お腹が痛くなるほど笑いました。ほんものの珍道中です。

滞在もあとわずか。
名物やおもしろいところを味わってほしいというお気持ち、とても嬉しかったです。
運転して下さった小林さんにも、ありがとうございます。

最後に工藤さんのお絵描き。
“地獄”じゃないよー。
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イラストレーター工藤さん、鈴木くんと描きました。
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この日、旧王余魚沢小学校に中学生がやってきました。
前日が中体連?の大会で、振替休日だったとか。
とてもクールで、なんとなくつられて私もクールぶってしまいました…。

彼女は「なんか知ってたから。」と、オルガンやピアノでメロディーを3つほど弾いてくれました。
AKB、初音ミクの曲?と君が代。
AKBはなんとか知っている曲だったので連弾してみました。
初音ミクはよく分かりません。
君が代、私が作曲の恩師に聞いて興味深かった話などして、こちらも連弾してみました。
その後小学生のお友達も連れて来てくれました。

平日ののんびりとした時間。
彼女たちとお話ができて嬉しかったです。
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ホームステイ先で「畑におじゃましてみたい」とお願いしたら、この日がちょうどよいから、とお約束することができました。朝7時半におばあちゃんと待ち合わせ、可愛い手作りのアームカバー、帽子、靴など貸していただき、リンゴ畑へ出発します。

道の途中、土砂崩れの影響で、道路が半分くらい無くなっているところがありました。なかなか直らないのだそう。うっかりすると危ないなぁ。
おばあちゃんは元気に歩いて行きます。

トラックで先に着いていたお父さんと合流し、三人でリンゴを摘みます。
おばあちゃん、収穫から選別まで超高速です。はしごもすいすい、とにかくてきぱき。かごいっぱいに摘んだら、赤、青、ジャム(加工用のこと)と箱へ分けて行きます。うん、リンゴ箱は何に使っても便利だけれど、やっぱりリンゴを入れるのにちょうどよいものですね。

とてもとても暑いです。参ります。
青森はねぶたが過ぎたら涼しくなるものだそう。
でも、去年頃から変わって来たそうです。
色づいていないリンゴ達ですが、このタイミングで摘んでしまいます。
ひょうで実に穴のあいたリンゴ、大雪で木が折れてしまうという話(添え木がしてあるものも)、元気な実を選んで残し、袋をかけ、まんべんなく色づくよう実を回す、何気なく食べているものは、手間をかけて育てられ、さらに商品として選られたものです。

おばあちゃんとどら焼き半分こ、一服しながら話をします。
リンゴのこと、青森のこと、結婚のこと、子どもや孫のこと、おばあちゃんの楽しみとか、おばあちゃんのお母さんやご兄弟のことも。
畑に来れてよかった。

作品作りや展示もそうなのですが、この時間はなにものにも代え難いと思いました。帰ってからお父さんが、写真撮ればよかったねーとおっしゃっていて、私もそうですねーなんて言ったけれど、やっぱり自然と、カメラは置いて行こう、となっていました。



店番をお任せしていた展示会場へお昼頃戻ります。

すっかり気軽に演奏されるようになったご近所の方。
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ガラス作家さんです。教室の音、視聴機の音、何度も丁寧にきいて下さいました。
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ちょっと場所お借りします、と小学校にアンテナショップのある復興支援NPOの方がミシンをはしらせていらっしゃいます。
ずっと洋裁のお仕事をなさっていた方です。
ジーンズの端切れを使った商品開発をされています。
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夜は家に戻って、ご家族と初めての食事!バーベキューです。
いつもははなれを一人で使わせていただいているので、ほとんどご挨拶ぐらいしかしていなかったのです。
嬉しい!
敬老の日ということで、みなさん集まっていらっしゃいました。
お母さんは縄文土器発掘のパートをされていたんですって!楽しかったんだよ〜とおっしゃっていて、こちらもわくわくしました。

私自身の祖父母にも電話をかけてみます。
青森?なんで?と驚いたようでしたが、がんばりよーと早々に電話を切られてしまいました、あはは。
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時間の流れが突然変わったのを思い出します。
ゆっくりと教室に近づいていらしたのは、先日リンゴ畑を案内して下さった方とそのお友達でした。
いるかなーと思って来てみたんだよ、とおっしゃっていました。
うれしくてうれしくてしかたがありません。
地域で知り合った方が会いに来て下さったのです。

教室で、リンゴ畑でレコーディングさせていただいた音と音楽を合わせて作った曲をきいていただきました。
一緒にカレーを食べたり、お茶を飲んだり、本当に幸せな時間でした。
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いよいよ「かれいざわアートICHIBA」の日、私たちの展示もスタートです。

森の観察会に少しだけ参加します。
虫除けにかけていただいたもの、なんて名前の木からできたものだったか忘れたけれど、一日中ずっとよい香りでした。

学校に戻ってみると、今まで穏やかで静かだった場所が突然人でにぎわいがやがや、とんとんかんかんとたたく音、活気があって楽しいけれど、音をじっくりきくような環境ではないことが分かります。
自分だけで試したちょうど良いと思っていた音は小さ過ぎたようです。
それでも自分にはきこえているのですが、初めてのお客さんには伝わらないボリューム。

静岡から来て下さった鈴木くんのご家族に、もうちょっと大きくてもいいかも、とご意見頂き、音量を調整することにしました。
三澤さんのご指摘でスピーカーも変えてみます。三澤さん、何でも詳しいです。

何事もお客さまが入ってみないと分からないものです。
舞台やライブもそうだけれど、展示はそこにいていただく時間をそれらよりもコントロールしにくいものです。
しかも教室は劇場やライブハウスと違い、周りの環境にも影響を受けやすい場所でした。
そして、どんなふうにお客さんと接していいかこれまた分からない。
伝えたいことで胸がいっぱいになっても、感じるままが一番、という気持ちもあって、おろおろします。

展示、難しい!
明日からの課題があれやこれや浮かびあがります。

あっという間に1日が終わり、夜は市街へ。
お魚、郷土料理をいただき、偶然にもねぶ/ぷたを見ることができました。

ねぶたってチームワーク!

感動です。
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